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約束した行動ができなかったクライアントにどう対応したらいいですか?

コーチングセッションで、前回約束した行動をクライアントが実行できなかったとき、コーチはどんな対応をしたらいいのでしょうか。

私は、その理由を聞いて「そうだったんですね」と言うくらいしかできなかったのですが…

新米コーチより

こんにちは!ご質問ありがとうございます。
なるほど、確かにそんなときの対応は迷いますよね。

いただいた他の内容も拝見する限り、その後の流れの中でクライアントにとって大切なことを見つけることができていたようなので、結果としてはそのときはその流れで良かったのではと思います。

しかし、せっかくご質問いただいたので、「クライアントが行動できなかったときの対応」と、コーチとしてより良いセッションをしていくための「振り返り方のコツ」を整理してみますね。

1. そもそもコーチの役割は何か

まずは、コーチングセッションの目的とコーチの役割について考えてみましょう。コーチングセッションは何のために提供していますか? その中でコーチはどんな役割を果たすと良いのでしょうか?

多くの場合、コーチはクライアントが目指す目標を達成するためや、ありたい自分であることを支援しているのではと思います。そのために大事なことは、「決めた行動をすること」ではありません。え!?決めた行動をしないで目標達成ができるの!?と思うかもしれません。そうですよね。確かに行動は大事です。ただし、大事なのは、長期的に見てクライアントが適切な行動を選ぶことができるようになること、そして上手く行ったことは継続し、上手くいかなかったことは違う方法を考えることができるようになることです。「自分自身のメカニズムを知る」と言ってもいいかもしれません。目先の行動のできた・できないではなく、自分にとって上手くいくのはどんなときなのか、どんなことが障害になりやすいのかを学ぶことができれば、クライアントはこの先様々な場面でそれを応用できるようになります。

そのプロセスにおけるコーチの役割は、クライアントが「あらゆることを学びにする」ということを後押しすることです。行動に限らず、もしコーチがクライアントが話すことを「学び」のきっかけにしなければ、それは普通の会話と変わらなくなってしまうかもしれません。

2. 「行動できなかった」そんなときコーチはどう関わる?

実際にはその場のクライアントの様子や関係性、コーチのキャラクターなどもありますが「行動ができなかった」と話すクライアントに対しては、「その代わりしたこと」をきっかけに自分自身のメカニズムを知るきっかけをつくることを後押しするのが良いのではと思います。(そういう意味で、今回は結果としてそれができたのではと想像しています。)

クライアントが「○○はできませんでした」と言ったと想定しましょう。話の流れによってはクライアントはそのまま、その理由を話始めるかもしれません。本当に「流れによる」のですが、大きな方針としては「その代わりにどんなことをしましたか?」と聞くのがおすすめです。何かができなかったということはその代わりに何かをしたということです。そこに光を当ててみましょう。

これは目標設定の際に「○○しなくなる」ということをクライアントが話すときも同様です。「そのときはその代わりに何をしていますか?」と、「すること」を聞いてみましょう。なぜなら「しない」ことは「それができている」と確認することや「しないように意識する」ことが難しいためです。(脳は「not」を認識できないと言われています。「○○しない」と意識することは、「○○する」と意識しているのと変わらなかったりします。)そのため、「○○しない」は、基本的に「その代わりに何をするか」を聞いてみるのが望ましいでしょう。

「できなかった代わりにしたこと」の話に戻りましょう。その代わりにしたことをクライアントが話したら、それに対して「その結果あなたが得たことは何でしたか?」と聞くことができます。これは仮にクライアントが「残業して、やろうと思ったことができなかったです」のように、「代わりにやったこと」が、本人にとって不本意なことだった場合も同様です。できれば明るくサラッと、「そうでしたか!それで、残業をしたことからあなたが得たことがあるとするとどんなことがありましたか?」と聞いてみましょう。

この場合、2つの種類の回答が来ることが考えられます。1つ目は「えー、得たもの!?うーん、あえて言うなら□□かなあ」と何かを挙げるという場合です。このとき、クライアントがどんな様子で答えるかに注目しましょう。(この場合に限らず、大切なのは言葉そのものよりその言葉を発しているクライアントそのものです。)もし、クライアントが答えているときにどちらかというとエネルギーが上がっているような感じであれば、「●●さんは今それを意外と嬉しそうに話されているように感じますがどうですか?」「●●さんは、手に入れたいものを手に入れたようにも感じますがどうでしょうか」と聞くことができます。

一方で、もし答えているときにエネルギーが下がっているように感じる場合、「●●さんが本当はどんなことを得たかったのでしょうか」「それは●●さんが得たかったものですか?」と聞くこともできます。

どちらにしろ、このように聞くことでクライアントが自分にとって何が大切なのかを確認する機会をつくることになるでしょう。

そして、「得たことはどんなことがありましたか?」の質問に対して考えられるもう一つのケースは「得たもの?うーん、特にないです…」と言う場合です。本人が望んでいないことの場合、そこから得たことは特にないということもあり得るかもしれません。

その場合は、「もしもう一度同じ状況になったときに、今度は○○ができるために工夫できることがあるとするとどんなことがありますか?」「何があればそれが上手くできそうですか?」と聞いてみるのはいかがでしょうか。もしくは「今回のプロセスで学んだことはどんなことでしょうか」とストレートに聞いてもいいかもしれません。

また、例えば「すごく忙しくて何もできなかった」というような話が出てくることもあるかもしれません。そのときは、「そんなに大変だったんですね。どうやってその状況を乗り越えたのですか」と聞くこともできます。

可能であれば行動を設定する時点で「障害になりそうなこと」と「その対策」を話しておくことが望ましいですが、そうでないとしても、行動として「できていない」ということを真に受けないというのがポイントだと思います。

ちなみに私は、クライアントは必ず何かが「できている」と考えています。それを言葉にすることで、クライアントはできていることに気づき、その再現性を高めることができると思います。だから仮にクライアントが「理想の状態の10に対して、今は0だ」と言ったとしても、「どうやってマイナスにならずにいられているのですか」と聞くこともあります。

このようにどんなケースであってもコーチはクライアントが自分自身について学ぶことを後押しすることができるのではと思います。困ったときはとにかく「今回、あなたが学んだことはどんなことだったでしょうか」と聞き、あとはクライアントを信じてじっと待つということをしてみると、クライアントは何かしら、自分にとっての学びを見つけることができるのではと思います。むしろ、コーチングがそういう場なのだということを、その質問と向き合うことで学んでもらうこともできるかもしれません。

3. より良いセッションを提供していくためにはどんな振り返りが必要か

ここまで、「クライアントが行動をしなかった場合」のアプローチについて考えてきました。最後に、より良いセッションを提供するための効果的な振り返りの方法についてご紹介します。

今回のように、結果オーライのケースでも「あのときどんな選択肢があっただろう」と考えることはコーチングの質を高めていくにあたってとても重要です。

そのために効果的な振り返りの流れとしては

1. 気になっている箇所について、自分が何をしたかを振り返る
2. なぜそうしたのかを考えてみる(例えば、何かに対する恐れがあったかもしれませんし、何か強い想いがあったかもしれません。クライアントの小さなサインを感じ、それを優先したかもしれません)
3. それは何から来ているかを考えてみる(そこにあなたの信念や思い込みがあるかもしれません)
4. その結果何が起きたかを思い出す
5. 他にどんな選択肢があるかを考えてみる
6. 他の選択肢を取ったときにどんな結果になったかを想像してみる
7. これらをいくつかの場面について考えてみる
8. 自分の考えや想像に偏りや思い込みがないかを客観的に検証する

この流れは、一人で行うだけでも新たな選択肢を増やすことができますし、複数人でケーススタディーをすることによって、普段とは違った視点で考えてみるということもできるでしょう。

ここまで、クライアントが行動できなかったときの対応と、コーチングセッションの効果的な振り返り方をご紹介してきました。

色々なパターンをご紹介しましたが、一番大切なことは、あらかじめ想定した質問ではなく、「クライアントの言葉を聞いて湧き上がってきたことを聞くこと(伝えること)」だと思います。何度もお伝えしてきた「自己一致」というのはこういうところにも現れ、それがクライアントに伝わり、クライアント自身にとって本当に大切なことを言葉にしていくことにつながっていくのではと思います。もし「浮かんできたけど、気を悪くされるかと思ったら聞きにくいなあ」と思ったら、そう言えば良いのです。

ところで、そういえばお悩みのご相談が気づけば「やっていることをもっと良くするには」という内容に変わってきましたね! 以前は「まだやっていないことを想像して湧いてくる不安」に対する悩みでしたが、実際に行動することで、「頭の中で勝手につくり出す不安」は少なくなっているのではと思いますがいかがでしょうか。

またぜひお話聞かせてください。

*個人的にいただいたご相談を元に相談者の許可を得て、ご相談内容を編集したものに回答を記載しています。通常のコーチングセッションでは、お悩みの相談をお受けすることやアドバイス・セッション内容の公開は行なっておりません。

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